1時間目:普通二輪初教習 その1

イメトレは出来ていました。

教習原簿と同じようにアプリのバーコードで配車券を出すと担当の指導員さんの名前が書かれています。優しい人である事を祈ります。

ヘルメットを借りるのは特に申込みなどは必要無いようでした。自動ドアを通って教習スペースに出ていきます。四輪の教習生の皆さんが座っているベンチの前を通り抜け、二輪のゾーンに。

オッチャンがバイクの前にいました。何処となく所在なげだからこの人も初回かも…と勝手に親近感を覚えます。バイクロビーに入っていいのかも分からず、並んでいるバイクたちを見て「デカい」と慄きます。

(後からこれは小型二輪の教習車だと知ります)

ふと気がつくとオッチャンがブースに入っていました。ここで後れをとってはいけない、とすかさず続いて中に入ります。

するとオッチャンは慣れた感じでプロテクターをつけていくではないですか。…彼は私の仲間ではなく遥か先を行く先輩でした。

そこへ指導員らしき人登場です。

「こんにちは。全くはじめてなのですが」

「免許証持ってきた?」

「はい!…あ、車に置いてきました!要りますよね」

「要りますね。」

「とってきまーす」

…チラリと時計を見ると、大丈夫。まだ開始時間まで時間はあります。四輪のベンチの前を通り抜け、車に戻り免許証をポケットに入れてまた四輪のベンチの前を通り抜け…。なんとか開始時間までに戻ることが出来た…と思ったらブース内には人が5人くらい集まっていました。初回ぽいのはどうやら私だけのようです。

指導員さんが2人来られました。その内の1人が多分私の名前を呼びました。最初に免許証のことを聞かれたのとは別の方でした。

「あっちは話があるから、tsukumoさんはその後説明します。座っといて」

どうやらみんなは卒検…なのかな。大先輩たちでした。

ボーっと壁に貼られた注意書きなどを眺めていると指導員さんから話しかけられました。

「免許証もってます?」

ええ!持ってますとも!当然のように差し出します。

「なんで二輪なんですか?」

「昔からの憧れで。身体が動く内にチャレンジしようと思いまして」

「あー。多いですね(ニヤリ)。最高齢76歳の方いらっしゃいました。」

「ほー!その方も取れたんですよね?」

「(ニヤリ)だいぶ苦労しましたけど」

「…覚悟します!」

そんな会話をしてる内にみんなは出ていきました。指導員さんの指示で教室の後ろにあるようなオープンロッカー(つまり棚)に荷物を入れます。貴重品は置かないように言われました。

さて、教習所の隅に置かれているボロボロのバイク達のところへ指導員さんの運転する車で移動します。知ってますよ。最初の難関「引き起こし」ですよね?イメトレはYouTubeや本で散々してきましたよ。3通りのやり方を見せていただき、いざチャレンジ。

「お!やるねぇ」

…とはなりませんでした。ビクともしませんでした。後から考えるに、おそらくは重心とかバランスが何処かわかってないからテコの原理も使えなかったのかなと。

「ま、倒さなきゃいいんですよ(ニヤリ)」と指導員さん。この人いちいち半笑いな気がします。

ブースに戻り、プロテクターの説明を受けます。まずは胸。好きなのを取っていいと言われたのに止められます。

「tsukumoさんはこちらの方が…」

男性用の胸部プロテクターを手に取っていたようです。女性用は明らかに形が違いました。こんな立体的な胸は持ち合わせていませんが受け取ります。

次は膝。長いのと短いのがあって私は長いのを選びました。転ぶの前提ですから、守られるスペースは大きい方が良いと思いました。

「動きにくいからって短いのを選ぶ人多いですよ」

あ、そうなんですね。まあ、まずは長いのを。

続いて肘のプロテクターを選びそれぞれを装着。慣れないのと緊張でモタモタします…。

ヘルメットは借りるのでインナーキャップ(さっきもらった!)をかぶって、はてサイズは…

レディースは3つしかなくSは入る気がしませんでした。Мは少し形が違うけど大き過ぎる?うーん。LはほぼМと変わらない気がします。まあシンプルな形のLにしましょう。

インナーキャップのゴムはこの時点でちぎれてただ載せてる感じになりました(笑)

壁にかけられている小さな鏡でヘルメットのベルトを指2本分の緩みをもって締めます。メガネがズレるし鏡に映るヘルメット姿の自分はブサイク過ぎて泣けました。

9号車の鍵と無線機を受け取ります。

綺麗なブルーの車体が眩しいバイクが並ぶピットでお世話になる9号車とご対面です。鍵をさすように言われましたが、まず鍵の位置が見つけられません。

続いてサイドスタンドを足で払うように言われますが、サイドスタンドの位置がわかりません。

サイドスタンドを払うとまっすぐに車体を立てないととんでもなく重いのだけわかります。

後ろに下がるのもヨチヨチと。向きを変えるのにも恐怖を覚えます。

ノロノロと歩いていると、「立つ位置が後ろすぎる」と指摘され、少し前に立つと…おぉ!取り回しが楽になって歩けるようになりました。

「うん、スピード出てきましたね」

初めて褒められました!(歩くスピードの事ですが…)

ピットの前で今度はセンタースタンドを立てるようにと言われます…重い。半笑い指導員に手伝ってもらって何とか立てました。

ウインカーやブレーキの位置を教えてもらい、点検の仕方を聞き、いざまたがります!ひゃー!デカい。でもカッコいい!

「エンジンかけて」

え、いいんですか?かけちゃいますよ。…恐る恐るスイッチを押すと、デュルルンといい音が聞こえました。うひょー。いちいち反応が昭和ですが許して下さい。五十路半ばなんです。

長くなったので次回に続きます。